カラッポの君-恋計画-

「……クッ」

あたしの言葉に、その人がクックと低く笑った。

「あんた、マヌケ」

「……は?」

ようやく合ったその鋭い視線は、何もかもを焦がしそうなほど強烈だった。

無表情なのに、鈍く光る瞳だけが美しかった。

リョウ兄ちゃんが光なら、この人は漆黒の騎士だ。

「ちょっと、待ってよっ」

スタスタと去っていく姿を、ただ黙って見ていた。


あなたは誰――?



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