カラッポの君-恋計画-

リョウ兄ちゃんが突然、あたしを壁際に押さえつけた。

な、な、な、なんですか……

「誰か来た」

ひそっと、そう言ってゆっくりわき道の様子を窺った。

「男?」

「ああ」

「フードは?」

「ない」

なんだ。

違う。

「何やってんだ、あの男」

「……?」

あたしも壁から離れて、そっと覗き見ることに。

「あっ」

思わず声が出た。

< 17 / 175 >

この作品をシェア

pagetop