カラッポの君-恋計画-


ピ…ピ―


「ル……タルっ…」

少しずつ、声が聞こえる。

長い夢を見ていた気がする。

「おい、ワタルっ」

テツ、か。

「やーっと起きたか」

そうか、俺は。

生きることを望んだのか。


「っつ…」

「まだ動けないぞ」

腹に鈍い痛みを感じた。

「ワタル」

笑っているテツの細い目からは、涙が溢れていた。

「聞こえてる」

ありがとう、テツ。


< 170 / 175 >

この作品をシェア

pagetop