カラッポの君-恋計画-

「ただいまっ…ワタル…」

「うん」

「ずっと、待ってた」

「知ってる」

あの頃よりも優しい声。

優しい瞳。

「見て、アユム」

指差された先、並んだ鉢植えをあたしは宝物のように扱ってきた。

約束したから。

必ず――


「今日、咲いたんだ」

「……っ…」

美しい花が、肩を並べて寄り添うように。

まるで息を合わせるように。


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