カラッポの君-恋計画-

アイツ――

“あんた、マヌケ”

「知り合い?」

リョウ兄ちゃんに聞かれて、首を横に振っていた。

「ほら、もう帰んぞ」

その瞬間、あの鋭い瞳があたしを見た気がした。

黒豹、みたいだ。

スルリと姿を消した男は、何かを探しているようだった。


「ただいまー」

誰もいない部屋に大声でそう言うと、バックを机に置いた。

途端に

~♪~♪~♪

携帯電話が鳴り出した。


「もしもし?」

『あ、西川長官のお嬢さんでしょうかっ?』


え――?

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