カラッポの君-恋計画-
「ロビー?」
切られた携帯を眺めていると、
「何してんだ。行くぞ」
男はすでにエレベーターの前にいた。
何の変わりもない、受付のある正面ロビーだ。
ナースやドクターが忙しそうにしてる。
「さっきのあんたの仲間なんでしょっ」
「さぁな」
何度も同じことを繰り返していた。
通り過ぎるオバサンや女の子たちが、一瞬必ずこの男を見て行く。
そしてすぐこの、なんとも言えない尖った視線を避けるように目を逸らすんだ。