カラッポの君-恋計画-
「なんで?」
テツが茶髪に豹柄という、なんとも目立った格好で声をかけてくる。
「おい、注文」
それに比べマイペースなワタルは、いつ見ても真っ黒だ。
「ご注文ですか?」
「うん。客だからね。俺コーヒーね。ミルク多目で」
テツがようやく座って言った。
「なんでもいい」
ワタルは、本当にどうでもよさそうにそう言っただけだった。
「なんでも……?」
「あー…コーヒーとかでいいから」
テツが横から苦笑して、いつものことだから、と加えた。