カラッポの君-恋計画-
――――
――


「ターゲットは確かなのか?」

俺はもう一度テツに確認する。

「間違いない。ドクターの妻、しかも男好き」

「はぁっ」

スーツを着込むと、片手に缶コーヒーを持った。

「いってらっしゃい」

テツの車を降りると、さり気なくショーウィンドウへ近付いた。

30代後半ほどの女がじっくりと宝石を眺めている。


ドンッ―


「きゃあっ」

「すいませんっ」

高そうな服にコーヒーの染みが広がった。

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