カラッポの君-恋計画-

震えた手はガラス細工を落とし、動けないまま数秒が経った。

気付くと男は逃げていた。


「はぁー…」

落としちゃった。

でも、おかげで助かった。



「アユム、怪我はなかったの?」

心配するママをよそに、犯人の顔を見逃したことを後悔していた。

「今度会ったら捕まえてやるんだから」

「何言ってるのっ」

「だって」

パパは警官だ。

あまり家には帰ってこないけど。

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