『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
同じ芸人である米山が引退を決意した本当の理由を知り、くやしさが消えたのかも知れない。


「アホォ、そんなんで止めるなや」
「アホでも何でもいい、お願い、辞めないで」


横を見ると、メガネの奥に涙が浮かんでいる。


そんな思いまでして、彼らを守ろうとした彼女に摩理依も何か感じるものがあったのだろう、そでをつかんでいる米山の手を握った。


「出場者の皆さん、どうぞこちらへー」


優勝トロフィーと賞金の贈呈、プレゼンターは前年のMANZAIーGP優勝者の『お笑いランチ』。


「おめでとうー」
「おおきにぃー」
「ありがとうございます」


仲良く頭を下げる2人を見て、微笑ましい気持ちになった。


芸人同士のカップルとして、そして、優勝者として来年は忙しくなるだろう。


それでも仲良く続けて欲しい、まあ、まーちゃ子なら大丈夫かな。

< 266 / 292 >

この作品をシェア

pagetop