『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「エエんと違う、自分らがそうしたいなら」


呆れるを通り越して『まあ、ギャラ入るから、要望通りで終わらせればいいや』モードですよ。


撮影が始まり、彼らのデビュー曲である『超絶S-steady』が流れ、それに合わせて最初のワンシーンを演じ始めた。


『カラメテイジメテナカセテ……』
『それでも愛して……』


歌唱力もあるし、歌詞や曲は超有名バンドに依頼しただけあって、かっこいい。


それに、遠くを見る目つきが何とも言えずにセクシー。


黒と白の衣装を着た2人は、座っていたソファから立ち上がり、互いの目を見詰めながら指を絡ませる。


妖しげな雰囲気がスタジオに広がり、皆は口を開けていた。


『キスはまだアト、アトになるホドしてあげる』
『欲しいならいくらでも、望むならどこまでも』


その歌詞に差し掛かった途端、2人の唇が重なる。


秀一郎様作のコンテに、そんな演出は無いが、監督は黙って続行させた。


男同士のキス映像なんて、普通は考えられないのに、平気でしている彼らに飲まれたのだろう。


間奏の間、ずっと唇を重ねた2人はカットの声が掛かるまで動かなかった。


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