【完】伝えない、伝えたい。
“また連絡する”
この言葉が、どれだけあたしを苦しめるか颯太くんは知っているのだろうか。
無表情といった顔でその場を去る。
途中、すっかり冷めてしまった肉まんを袋ごとごみ箱に捨てる。
「ごめんなさい、店主さん…」
ガサッと虚しく音をたてたビニール袋を見て切なさが増す。
アパートに着くと足早に部屋に入った。
「…ほんと、バカ……」
あたしはそのまま玄関に崩れ落ち、嗚咽混じりに泣いた。