【短編】その涙を拭いたい
第1章
「…この紛争による死傷者は、
少なくとも数百人と思われます…
続いて経済のニュースです…」

テレビを消して、
ベッドに仰向けに倒れ込む。
表情一つ変えずに読み上げる、
ニュースキャスターに嫌気すら覚える。


天井を見つめ左手を伸ばし、
世界の遠さを感じる。

この掌は…
何かを変える事が出来たのだろうか。


いくら言葉を紡いでも、
埋まらない世界との距離に涙を流す。

僕は分かりやすい人間で、
ヘビーなニュース一つで、
1日の始まりを、
最低のテンションで迎える事が出来る。
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