【短編】その涙を拭いたい
ケータイの時間を見て、
タイムスリップしたかの様な気になった。

「私の腕時計は2時間早いのでした~」

「はぁあ…詐欺だ…」

サヤカのイタズラに、
踊らされていた自分に呆れて溜め息を吐く。

「だって、こうでもしないとさッ!!
私は最低のテンションと、
1日付き合わないといけなくなるじゃない。」

「はぃはぃ、僕が悪うござんした。」

サヤカには感謝している。

ニュース一つに、
振り回される僕に振り回されても、
サヤカは嫌な顔一つしないで、
付き合ってくれるのだから。

「今日のコーヒー代はオゴってねッ。」

「はぃはぃ、分かりました。
コーヒー代ぐらい言われなくても、
オゴリますよ~だッ!!」

不幸なニュースが溢れる世界の中に、
幸せな日々を見い出せる自分がいた。
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