【短編】その涙を拭いたい
第3章
そんな幸せ日々が、
何時までも続くと思っていた。


でも、どんな世界にも、
平等に不幸は訪れる。


その日は、
いつもと変わらぬ日の様に見えた。


サヤカと大学までの道のりを歩くの中、
サヤカのケータイが鳴る。


電話に出てしばらくして、
サヤカの顔色が曇ったのが分かった。

「サヤカ?…どうしたの?」

「…」

サヤカの頬に涙が零れ落ちる。

「私…どうしよぅ…お父さんがね…
死んじゃったって…
どうしたら良い?…私…」

「そんな…」

サヤカのお父さんとは、
会った事も無かったけれど、
サヤカの涙が大切な人を失った痛みを、
十分な程に僕に伝えていた。

「サヤカ…」

僕は言葉を口にする事が出来なかった。
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