lovable winp
そんなに必死になったって報われるかなんて俺次第だ。
俺が約束を果たす保証なんてない。
そうとはわかってても、
「じゃあ、これ。今日の数学と日本史のノート写しといて」
「わかった……」
俺の言いなりになれば、約束が叶うと思って相菜はなんでも頷く。
手渡したノートを受け取り、相菜はそそくさと踊り場から逃げるように立ち去って行った。
……ここに来てから一回もこっち見なかったな。
俺と目も合わせない相菜に若干苛立つ。
「何あれ? パシリ?」
「ヤダ~。彩騎可哀想だよー」
そんな俺の心境を知る由もなく。
今までの一連のやり取りを見ていた女どもが二人してこんなことを言うけど。
立ち去って行く相菜の背中にわざと聞こえるように言いながら笑ってるんだから、こいつらも相当に性格が悪い。