lovable winp

足早に非常階段から立ち去っていく相菜の足音を聞きながら、行き場の無い苛立ちに小さく舌打ちをした。


「キツイ言い方」


「あんな顔してるアイツが悪い」


「こんなことばっかりさせられて笑えるヤツなんて居るかよ。ドMだな、そんなヤツ」


俺たちのやり取りを黙って隣から見ていた優明が、こう言って鼻で笑ってみせる。


俺の言ってることとやってることが矛盾してるって言わんばかりに……。


「笑わせたいなら優しくしてやれよ」


「うるせぇな。アイツが勝手にやってるんだから良いだろっ」


「三倉さんの気持ちを盾におまえがやらせてるんだろ」


ああ言えばこう言うで返す俺の言葉に、優明の呆れた溜め息を漏らした。


「少しは素直になれよ。じゃないと、三倉さんに愛想尽かされるぞ」


「そんなこと有り得ないし」


どこからそんな自信が湧いてくるんだか……って、心底呆れかえった優明を完全に受け流す。

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