lovable winp
相菜の意志を無視したまま連れてきたのはいつもの非常階段の踊り場。
掴んでいた手を強引に壁に磔にして、相菜の動きを完全に封じる。
身動きがとれなくなった相菜が不安そうにこちらを見上げてるのが余計に俺を苛立たせる。
さっきのヤツには笑ってた癖に……なんで俺の前では笑わないんだよっ。
教室で笑ってた相菜の笑顔が向けられていたのが自分じゃないことへのどうしようもない怒り。
その怒りに任せて、
「俺からの電話シカトして何ヘラヘラしてんだよっ!」
真正面から怒鳴りつける俺に相菜の肩がビクッと震える。
そのまま俺の視線から逃げるように伏し目になって、
「カバンに入れてたから気付かなくて……」
絞り出すようなか細い声に怒りは収まるどころか膨れ上がっていく一方だ。