lovable winp
俺の家は昔、両親が離婚してからずっと父子家庭だった。
仕事人間の父親は、自分の興した事業を継がせる為に俺を引き取った。
ほとんど家に帰ってこない父親は、適当にハウスキーパーを雇って俺を育てていた。
でも、ハウスキーパーの作るご飯は俺が学校から帰るまでには冷めてるからあんまり好きじゃなかった。
だから、
「飯作って」
そんなときはいっつも近所の相菜を呼び出して、飯を作らせるのが日課だった。
幼なじみのよしみ……なんて言えば聞こえは良いけど。
俺と相菜の間にはそんなモノとっくの昔に無くなっていた。
それでも。
相菜は俺の親が離婚して父子家庭になった経緯を知ってるせいか、こうやって呼び出せば必ず俺の元へとやってくる。