lovable winp

だから今もこうやって、こいつはラブホまでわざわざ傘を届けに来たりしてるのだ。


滑稽だよな。


「いくら好きな相手だからって……他の女と寝た後のヤツに傘持ってくるかよ」


「……雨に濡れたら風邪引いちゃうから」


口ではこんなことしたくないって言ってた癖に、こんな言い訳までして……そんなに俺に気に入られたいのかよ。

バカな女。


「自分も相手にされるかもって期待した?」


「そんなことっ……」


ずっと俯いてた顔が真っ赤になってとっさに俺を見上げた。


否定しようとする眼差しが必死過ぎて哀れ。


「心配しなくても絶対ないから。……おまえには手出さないし」


「…………」


言い捨てた俺の言葉を聞くなり、相菜の顔はまた足元へと戻されてしまった。







< 9 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop