克服ブラックベリー
スタスタと、ポニーテールを揺らして間を歩く清羅さん。
久しぶりに歩く私は、もう息が切れかかっていた
「あ、あのっ……どこにっ、行くんですか?」
「えっ……あ!ごめん!!歩くの速かったね…」
スピードを落とし、私の隣に来る
「まずは美容室行くよ!あとは…明日の学校のための買い出し!」
「は、はぁ…」
言い終えると、ニコッと笑って
また鼻歌を歌い出す。
「なんか嬉しそうですね…」
「うん!あたしこういうの始めてなの!」
あ、ついた!と指を差す美容室
オシャレで、今の私が入るのは少し…
というかかなり恥ずかしい
「大丈夫!あたしの知り合いのお店だから!
ほら!」
清羅さんに押されて店内に入る。
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「こんな感じでどう?」
「い、いいよてっちゃん!!可愛い!さっすが!」
鏡の中の私は、病む前よりも綺麗になったみたいだった
「調子乗ってメイク無料でやっちゃおうかな?」
「さすが、太っ腹ぁぁ!
優真ちゃん、メイクもしてくれるって!」
ええええ……
私一応引きこもりなんですけど…
………まぁ、もう違うか…
私はこれを機会に変わるんだ!
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「寝不足みたいでお肌ちょっと荒れてたけど
元の肌がいいみたいね、綺麗にできたわ!」
まつ毛がくるんだ…
「ありがとー!
優真ちゃん可愛いよぉぉぉぉ!」
ぎゅーっと抱きつかれる。
そ、そんな可愛くないでしょー、と
改めて鏡を見る。
最後に鏡を見たのはいつだっけ?
あの時は、もっと見てたいとか思わなかった。
今は思う。どうしたらこうなるんだろう、とか
こんな機会、多分二度とないから目に焼き付けておこう、とか…
「気に入った?」
「……はい!」