克服ブラックベリー
「えっと…清羅華恋さん!」
「はい。」
「あれ?華恋ちゃんも同じクラス?」
「ほんとだ……」
「俺たち3人、離れたことないな!」
「確かに…一時も休めねぇよ」
俺達うるさいもんね!と楽しそうに言う心哉。
こいつのテンションについて行けないが、別に嫌いじゃない自分がいる。
「沢沼優真さん!」
へぇー、”ゆうま”って書いて伸ばさねーで
”ゆま”って読むのか…
少し興味が湧き、誰だ誰だと見渡すが、返事すらない。
「え…あれれ?…欠席ですか?」
「沢沼はいいんです」
後ろで竜ちゃんがそっと呟く
「そうですか…でも配布物色々溜まってて…
あ、そうだ!家が近い人って誰でしょう…」
「織海清哉です」
嘘だろ竜ちゃん…
「そうなんですか!じゃあ織海さん!
よろしくお願いしますね!」
「ちょっと待て竜ちゃん、俺そんな奴知らねーよ?」
「お前のアパートの向かいの家だよ」
そんな近くに沢沼家が?
「ふぁーいとっ!」
後ろから囁く心哉に、俺はチョキで殴った。



「本当だ…沢沼………」
インターホンを押すと、若い女の人の声がした。
「こんにちは…もしかして優真の?」
「あ、そうっす。配布物を届けに来ました。」
「そう……ちょっと厄介ごとを頼んでいいかしら?」
嫌です。と何故か言えず
話の続きを待ってしまった。
「優真に学校行ってって、説得してくれる?」
「嫌です。」
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