克服ブラックベリー
~次の日~

「はぁ!?断ったの!?」
華恋の声がキーンと頭に響く。
「だって面倒じゃね?不登校してるやつなんて、不登校してろよ」
「清ちゃんひでー!」
「ひどーい!」
「ひでーなぁ」
「うん、ひどーい!」
ジリジリと華恋と心哉との距離が縮まる
「っ…………」
「お、楽しそうだな!」
竜ちゃんが間に入ったことで
距離は一応保たれた。
「何しに来たんだよ…」
「なんだなんだ?恋か?
告られたのか清哉、フったのか清哉!」
「ちげーよ!」
なんでも恋愛話にしやがって…乙女か!
「あのですね…」
丁寧に華恋が教え出す。
さすが優等生っすね。
「うーん…沢沼に告られたのか…」
「だからちげーって」
こいつ天然なのかわざとなのかわかんねぇな…
「沢沼か……うーん…………」
腕を組み、何か考え始める竜ちゃん。
「何を考えてんのかな?」
「さぁね、あたしが知るわけないでしょ。」
「別に華恋ちゃんに聞いてないもん」
「あ?なに?」
「あー、うるせー」
「よぉぉぉしっ!!!」
「竜ちゃんも、うるせーよ」
「お前らっ!頼みがある!」
「あ、ちょっとあたし用事が…」
「お、俺もー…」
「俺も。」
「報酬は弾むぞぉー?」
竜ちゃんは、右手で”お金”のジェスチャーをする。
「うぅ…大人って怖いねぇ……」
「華恋ちゃんの方がよっぽど怖」
ゴツーンと、石がぶつかるような音がした。




また、沢沼家の前に立ってる自分がいる。
「結構立派な家だね…」
「華恋ちゃん家には及ばないでしょ!」
「そ、そうだね…」
俺はインターホンを押す。
はーい、と声が聞こえてドアが開く
「…あ、織海さん…でしたっけ?」
「そうっす。」
「えっと……そちらは?」
「沢沼さんのクラスメイトの清羅華恋です!」
「同じく織川心哉でーす!」
「清羅さんに織川さんね…ありがとう。
どうぞ入って。」
「おじゃまします!」
「おっじゃましっまーす!」
「おじゃましまっす…」
この二人、なんでこんなにテンション高いんだ?
ドタバタと階段を登る二人を見て
はぁー、とため息をつく。
チラっと茶の間らしき部屋を見ると
お父さんぽい人がこちらを見ていた。
反射的に礼をすると、向こうも礼で返してくる。
階段を登り、ある部屋の前に立つ。
「ここです…どうかよろしくお願いします……」
深々と頭を下げる母親に、俺は
「わかりました」
と言ってみる。
無責任だ、ほんと…
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