克服ブラックベリー
俺は扉を開く。
「……沢沼優真ー?」
ビクッと肩を震わせ、こちらを見る。
「………こう……た?」
「は?」
「康太?………」
数秒して、それが名前だと気づく。
「康太じゃねぇよ。織海清哉だ。
お前の…その……クラスメイトだ」
「そう……だよね…
ごめんなさい、散らかってて、どうぞ入って?」
「うぃ…」
「はーい!」
「やったー!」
いたって普通の部屋。
不登校と聞いて、部屋が汚れてたり
臭いがキツかったり、ポスターがたくさん貼られてあったり…
そんな部屋かなーと思ったけど
ぶっちゃけ俺の部屋より綺麗。
「お母さんでしょ?…」
「うん!綺麗なお母さんだったね!」
「えへへ……ごめんね…お母さん心配性だから…あ、名前……」
「清羅華恋です!」
「織川心哉でーす!」
「…織海清哉」
__しーん…__
(おい華恋、心哉、なんか喋れよ。)
(い、今考えてるの!)
(華恋ちゃんに任せた!)
(てめぇ、また頭突くぞ…)
あーもう、
こんな重い空気に耐えられるか!
俺はさっさと用事済ませて帰るぞ!
「お前…なんで学校来ねぇの?」
「と、唐突ですね…」
「ちょ、清哉いきなり!?」
「さっすが清ちゃん!」
う…さすがにいきなりすぎたか?
「あ、やっぱい…」
「ううん、いいの
私、色々あってちょっと病んじゃって…」
いや、ちょっとどころではない…
「ほとんど何もできないんですよねぇ…あはは……」