恋箱。

「ひょっとしてココじゃ無かったとか??」

つぶやく奈々さんに力なく頷く。

「ケンのおばあちゃんは一人しかいないし、あの人は違う人だよ。」



必死にここまで来たのに振り出しに戻ってしまった。


後から聞いたらこの地方ではケンの苗字の人が何人かいるとか。そんなの知らなかったし!!



地元では珍しい苗字だったんだもん!!



それに……考えてみたら引っ越してきたばかりのケンの家がご主人の持ってた数年前の古い住宅地図に載ってる訳がなかったんだよね?



ちょっと考えれば分かりそうなのに。舞い上がってたアタシは気づかなかったんだ。




「とりあえず歩いてみようよ♪ここから近いのは間違いないんだし」




励ますようににっこり笑う奈々さん。




「そう……だよね?近くにはいるよね!!」




ちょっとだけ元気が出た!


そうだ。


ケンはすぐ近くにいるはずなんだから。




私達は再び歩き始めた。





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