恋箱。




かっちゃんの為に始めた居酒屋の仕事。


……だった筈なのに、彼がいない今となってはだんだん通うのが億劫になっていった。


意味の無い仕事。


楽しくない訳では無いけれど、いつかの見た夢のようにやりたい仕事だとは思えない。




同年代の子のキラキラした会話にもついていけない。



アタシはどん底だった。





男の子と……会話はするけどそれだけ。


新しい恋愛になんて踏み込めるハズもなく……ただ職場と家を往復する。



「葵さん!」



ボサっとしている頭で振り返るとまだ18歳、短大生のアイコに声をかけられた。


アイコはここで働くアルバイトであり、誰にでも好かれる美人さん。2階の系列店の店長もアイコ狙いだったりする。




そんな彼女が紡ぎだした言葉は




「深夜の配送で来る高津さんいるじゃないですか~??」




「あぁ~あの人気の人??」




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