恋箱。
ボロボロの体。
きっかけは……最初に飲み屋で働いたトキだった。
16歳だったアタシは当然今みたいにガンガン飲める筈もなく……そんなアタシに先輩が言った一言。
「あや~酒ってのは吐くほどに強くなるからね~!!!いっぱい飲んでいっぱい吐いてるうちに飲めるようになるよ」
「今日は飲まされそうだなって思ったらさ、酔いが回る前に先に吐いちゃえばいいの。そしたら潰れなくてすむからさ」
言われるままにアタシは吐くことを覚えた。
吐くには指で喉のドコを突いたら楽なのか……次第に覚わってゆく。
そのテクのおかげでお酒に強くなったアタシがいる。
若い頃に覚えてしまった吐く、という行為。
別にそれが当たり前だったからそのトキは気にもしなかった。
体に負担がかかる日は吐いたらいいんじゃん?って。
むしろ自分の為だって思ってた。