恋箱。


ボロボロの体。



きっかけは……最初に飲み屋で働いたトキだった。



16歳だったアタシは当然今みたいにガンガン飲める筈もなく……そんなアタシに先輩が言った一言。


「あや~酒ってのは吐くほどに強くなるからね~!!!いっぱい飲んでいっぱい吐いてるうちに飲めるようになるよ」


「今日は飲まされそうだなって思ったらさ、酔いが回る前に先に吐いちゃえばいいの。そしたら潰れなくてすむからさ」




言われるままにアタシは吐くことを覚えた。


吐くには指で喉のドコを突いたら楽なのか……次第に覚わってゆく。


そのテクのおかげでお酒に強くなったアタシがいる。





若い頃に覚えてしまった吐く、という行為。


別にそれが当たり前だったからそのトキは気にもしなかった。



体に負担がかかる日は吐いたらいいんじゃん?って。



むしろ自分の為だって思ってた。





< 267 / 379 >

この作品をシェア

pagetop