恋箱。




そんなアタシの異変を高津さんは感じとっていた……らしい。




「こないだはありがとうございました♪」


「こちらこそ」




今日も高津さんは笑顔で言う。


崩壊寸前のアタシにはその笑顔が眩しすぎて……直視するのが躊躇われた。


金に近いサラサラの茶髪が、そんな横顔を更にカッコよくみせていて……。




そう。




先日弟さんを連れて本当に店に来てくれたんだ。アタシのお勧めを食べて美味しい!って言ってくれていた。





あ、そうだ。一応言っておかなきゃね?お世話になったし。





「アタシね……ここ辞めるかも」





!!!!!!!!!!!





あれ??


笑顔じゃなくなったよ??





「やっぱり体調??顔色最近悪いもんな」





……気付いてたんだ。




高津さんは急に真顔になるとアタシの瞳をまっすぐに見て言った。





「俺にだまっていなくなるなよ?」





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