俺を待っててくれる?

愛紗の温もり、こんなにあたたかいなんて… 初めて愛紗と付き合って手を繋いだ事を思い出すよ。

タレ目が無くなるんじゃないかってくらいの笑顔が可愛い愛紗。

起きなきゃな…

夢の中にいる俺に靄がかかってきた。
誰が呼んでる気がした。

夢の中の愛紗が遠ざかると、手を伸ばして掴もうとする俺には届かなかった。
だから俺は呼ばれた先へと進むんだ。

俺が目覚めるために。

握られている手に愛紗の温もりを感じ、流れて伝い落ちる涙に、俺はピクリと意識を伝える。

「 ……今 ……雅弥?」

愛紗…

「 雅弥っ!握って、もう一回、私の声聞こえる?雅弥!」

愛紗… 泣いてんのか?

ゆっくりと意識が視野に集まる。

見えないボヤけた先に何かが見える。

顔にも温もりを感じて、冷たいいくつもの小さな刺激を感じる。

「……紗 泣… な… 」

言葉が言葉にならず発したが、愛紗がかな切り声で、顔をくじゃぐしゃにして泣いている。

やっぱり泣いてたな、愛紗…
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