俺を待っててくれる?

俺は斜めになった形のままバランス崩し階段から落ちた。

全神経に鈍い鈍痛と激しい痛みがビリビリと走る。
痛いなんてその時には感じないものだが、痛いと自覚したのも一瞬… 意識はあっという間に飛んでしまったんだ。

だから俺は愛紗が階段上で立てないまま泣き叫んで俺を呼んでたなんて聞こえていなかった。

夢を見てる見たいにフワフワと、体が浮くのが感じられたが、俺は意識的に何も感じない。

そんな俺を、救急車の中でも病院でも、愛紗は泣きじゃくって、タレ目が無くなるんじゃないかってくらい泣いていた。

泣くなよ……

愛紗… 俺はお前と笑いながら一緒にいたかったんだ。

泣かせるつもりはないんだ…

俺は階段から落ちた時、頭を打ち付けたようで、この日からしばらく、夢の中にいた。

不思議と意識はある。

ただ、夢のなかで。

声が、毎日毎日聞こえてきた。

始めは泣き声で何を言ってるかわからず、時には報告や願い、色々眠っている俺に話すんだ。




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