Bitter Sweet
ー泣き場所になってくれる、って言ってたよね。

でも、その本人に泣かされた時はどうすればいいの?


ーバカ高梨。



…まだ高梨が身体に残していった熱が残ってる。


涙を堪えて、ハァ、と息をつき、自分の身体をギュッと抱きしめさっきの出来事を思い返す。



ーそういえば、アイツ何か用があったんじゃないのかな。

うちまで来た理由をまだ聞いてなかった。


ようやく部屋の電気を点け、高梨が出て行った玄関の方に目をやると、何か紙袋が置いてある。

ーあ、これ。さっき高梨が持ってた袋。忘れてったのかな。

そう思い、ちょっぴり袋を覗き込むと、中には透明なビニールでかわいくラッピングされた二つのワイングラスとワインのハーフボトルが入っていた。




私へ、かな?コレ…。

私の好きな白ワイン。

前、一緒に飲んだ時に気に入っていっぱい飲んだ銘柄だった。


ーあいつ、覚えてたんだ…。


無性に涙が込み上げて来た。

ーもう。

本当….バカ蓮。


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