Bitter Sweet
「なんていうかさ。俺、ひかりとの事は時間に解決してもらった感じだったんだよな。」


それは、私もそうだった。
無理に忘れようとしたって辛いだけだったから、時に身を任せた。


「すっかり忘れたってわけじゃなかったけど、その後彼女も出来たりして、前に進んでた…つもりだったんだけど。」

「うん…。」

ゆっくり言葉を紡ぐ彼の口が再び開くのを待つ。

「お前と再会したら、タイムスリップでもしたかみたいにさ。過去に戻された気がした。」

私の目をじっと見つめて、ふぅ、と小さくため息をつく。


「でも、今いる俺達はさ。昔の俺達じゃないだろ?
別れてから10年経つんだ。変わってない所もたくさんあるだろうけど、変わった所もあるハズでさ。…大人に、なったんだから。」


「うん…。」

言葉がひとつひとつ、胸に迫って…

うん、としか言えない…。

「だから、お前と過ごした一番の思い出の場所に行って、確認したかった。…時間は流れてるんだって。
昔の俺たちに戻るんじゃ同じ事の繰り返しだから。」



ふっと昂くんを見ると、

両手を顔の前で組んで肘をつき、考え込むような顔をしている。

きっと昂くんなりの気持ちの整理をしようとしてるんだろう。


その気持ちは痛いほど、理解できる。

自分と同じ、だから。



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