Bitter Sweet
カツンカツン、とヒールの音を響かせながら歩を進めると高梨のアパートが見えてきた。


久しぶりだな…。

高梨の部屋へ目を向ける。

2階の端っこ。

電気は…ついてない。

留守かぁ。

とりあえず部屋まで行こうと階段を昇り、1番奥の扉の前で止まる。

いないだろうけど、一応…。

ピンポーン、とチャイムを鳴らした。

……。

返事はない。

そんな都合よく捕まんないか。

小さく息を吐き、ドアに背をつけてもたれかかる。


…15分だけ、待ってみよう。
それでも来なかったら帰ればいいや。

ハァ~っ、と白い息を吐きながら手の平に当てる。


会えたとして、何をどうやって話せばいいのかな…。

考えてみたら、私、別に高梨に好きだとか言われたわけじゃないんだよね。

いや、でも。

きっと傷付けたから…

謝ろう。

謝っても何も解決しないかもしれないけど。


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