Bitter Sweet
思わず目を見張った。

人違いじゃ、ない。

どうしよう、そう思って慌ててアパートの陰に隠れた。

壁の端から顔だけを、抱き合ってる2人の方へちょっぴり向けて様子を窺う。


…そういえば。

私が昂くんとデートした日、女の子連れの高梨を見たんだ…。


あの時のコなんだろうか。
顔はもう覚えてないから、確認のしようがない。


女の子の話し声がどこか切羽詰まったような響きを含んでいて、
こっちまでハラハラしてくる。


会話までは聴き取れない。

緊張感に耐え切れず、一旦顔の向きを戻して建物の陰で座り込む。


何してるんだろう、私。




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