Bitter Sweet
気づくの、遅かったね。

私は…いつの間にか、高梨のいる生活が、好きになってたんだよ。


アンタの、甘い笑顔が毒にも見えたのは、私が予防線を張ってたから。ある線を超えないように警戒してたから。


なんで素直に飛び込んで行けなかったんだろう。


さっき、高梨にキスしたコは。
2番目でもいいからって、思い余ってキスできちゃうくらい、好きな気持ちをまっすぐぶつけたんだ。
あんなに素直に積極的になれるのは若さゆえ、かもしれないけど。

28の私には、そんなことがすごく、羨ましくて…眩しくさえもあった。


素直になれれば、ラクなのに。


どうして自分の気持ちに蓋をしちゃうんだろう。


蓋をして、その気持ちが風化するのを待つのがクセになってる。


それが大人になることだって言い聞かせるみたいに。


本当はただ、自分が傷つきたくないだけー。
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