Bitter Sweet
「昂くんの事は、今でも好きだけど….でもね。もっと好きな人がいるの。だから、昂くんとの未来は考えられない…。」

一気に言って、
恐る恐る昂くんを見るとその表情は哀しげで。
でも穏やかに、微笑んでいるようにも見えた。

ーえ?

思わず不思議な顔をして昂くんの顔をじっと見る。


「お前の話は、ソレ、だよな?」

私から視線を逸らさずに聞いてくるので、ゆっくりと頷いてしまう。


「そうか。やっぱり俺より好きな奴、いるんだ。当然かもな。ー俺といる時のお前は、いつもどこか…切なそうな顔してて、一緒にいるのに寂しそうで。」

私が包んでいた彼の手に力がこもってくる。

「今の俺じゃなくて、昔の俺を見てる。ーそれは俺も同じだけど。少なくとも俺は、お前との先も考えられたし、誰かにお前を奪われたくもなかった。」

包んでいた昂くんの手がスッと抜き取られて、反対に、私の手首を掴んでくる。

次の瞬間、私は昂くんに引き寄せられて…腕の中に収まっていた。




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