Bitter Sweet
逸る気持ちを抑えながらラッピングを解き、箱を開けると、私の目に飛び込んで来たモノは。


「…時計?可愛い…。」

小さな懐中時計のような。
バッグとかに付けられるチャームみたいに、かわいいサイズのもの。

本体はピンクゴールドで、盤の淵にはラインストーンが散りばめられている。


ー時計。

高梨が選んだものに、何か意図がある気がしてならない。


時計の針は、12時15分を指している。

秒針がゆっくりと回っていくのを見ながら、


高梨はいつ、ここへ来たんだろう、という疑問が頭に浮かんだ。

ちょっと待って。

さっきのメールは、何時頃だった…?

携帯を慌てて取り出し、もう一度メールを見た。


ーー0時ジャスト。


何かが、私の中で弾けた。


きっと、このメールは。

ここにプレゼントを入れた時に送ってきたんだ。

それが分かったと同時に、
小さな箱を持ったまま、

私はもう、外へ駆け出していた。


ー時間は、止まらない。

動いてるんだから。

今を逃しちゃ、ダメだ。
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