Bitter Sweet
神社までの道のりを歩いていると、氷みたいに冷たい夜風が頬に突き刺さる。

「寒むっ!!」

思わず叫んで、首元に巻いてたマフラーを口元近くに寄せた。

隣で手を繋いで歩いてる高梨は、ハハッと笑って、

「すっげぇ顔。眉間がすごい事になってるぞ?」

私の眉間に寄っていたらしい盛大なシワを指で伸ばしてくる。

「そんなこと言ったって、寒過ぎて…。」

はぁーっと吐き出す息は見事に真っ白だ。

「じゃあ、ん。」

そう言って高梨は片腕を少し曲げて、

「こっちの方がくっつくから、あったかいよ多分。」

ふわりとした微笑みを浮かべる。

その腕に誘われた私は、自分の腕を絡ませて高梨にピトッとくっついた。

「ホントだ。さっきよりあったかい。」

高梨の温もりに触れられる面積が手を繋いでるより広いせいかもしれない。
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