Bitter Sweet
「いいよ、今まで通りで。私も今まで通り気にしないから。高梨が好きなのは、自信ないけど、こんな私、って事でしょ?」


高梨は一瞬、目を丸くしたけど、すぐにその目はにこやかに細められた。


「うん。素直じゃないし、自分のことには鈍いし、色気もそんなないけど。」

ちょっと、言い過ぎでしょ、と喰ってかかろうとした言葉は、吐き出される前に高梨の次の言葉に遮られた。


「オレはひかりさんだけ傍にいてくれたらいいから。信じてよ。」

高梨はグッと肩を寄せ、私の頭の上に顎を載せてくる。

高梨の温もりに胸の奥がキュンとして、目を閉じて呟いた。

「…うん。信じてるね。」


付き合ってるんだから、信じ合わなきゃ始まらない。

勝手な誤解で、この恋を、
手放したくはない。


ヤキモキすることも多いかもしれないけど、

私も高梨が自慢したくなるようないい女に近づけるよう、努力しなきゃ。


「ねぇ、ひかりさん。ひとつ言っとくけどさ。」

「ん?」

「ひかりさんね、自分が思ってるよりもモテるの自覚した方がいーよ。有田さんも何かの時に言ってたけど。…特に年下の男からの人気、絶大だから。」

…へ?

口をポカンと開けて、高梨をマジマジと見つめてしまう。


そういえば、昂くんにも、牽制してたとか何とか言われたのを思い出す。


「やっぱ気づいてないんだな。俺の方が虫除け大変だっての。付き合いも社じゃ公けにできないし。」


あ~あ、バラしちゃった方がラクなのに、とブツブツ言うのが聞こえて、慌てて止めに入った。
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