Bitter Sweet
神戸出張から帰ってきた有田さんとひかりさん。

微妙なオーラを2人して纏ってるのがオレにはすぐ分かった。

何かあったな…、しかも多分。

ひかりさんのほんの少し腫れぼったい目元を見る限り。

泣いた、な。


彼女には気づかれないように、心の中で盛大に溜息を吐き、オレは脳内で計画をし始める。

ひかりさんの笑顔を少しでも取り戻してやりたくて。

強引な方法で、オレの部屋に呼んで、ひかりさんの好きそうなものを用意する。


不機嫌顔で最初は来た彼女も、少しずつ心の緊張は解れたみたいで。

でも、有田さんと何があったか、これまた脅しのようなやり方で聞きだし、

聴かなきゃ良かった、なんてうっすら思いながら話を聞いた。

反則だろ、有田さん。

そう毒づきながらも、ひかりさんには言わず。

酒の力を借りて、ひかりさんを傍に居させる。

甘えさせてやりたくて、
そうしてオレの腕の中に閉じ込めてしまいたかった。

泥酔してまたもや寝オチしたひかりさんをベッドに運ぶと、
また勝手に服を脱ぎ出す彼女。

ハッキリ言って拷問だ、コレは。

さすがに寝てる女を抱けはしない。

理性をギリギリで保ち、頭を冷やすためにシャワーを浴びて戻ると。
規則正しい寝息を立てて、生脚を布団から半分出してる彼女。

ーホントに。困ったヒトだな。

溜息をつきながら脚をしまってやり、オレも布団に入る。

仄かに香る彼女の香りに誘われるように、オレは彼女を後ろから抱きしめるような形で、眠りについた。



どうしたら、オレのものになってくれるんだろう。

淡い夢を抱く。

彼女が少しでも、オレを見てくれるように祈りながら、抱きしめる腕の力を強めた。
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