Bitter Sweet

ー嘘だろ。


ドアの前に佇むひかりさんの姿を見て、オレはそう思った。

ついさっき、悲壮感いっぱいに帰ってきた所で、夢みたいな現実。

消えちゃうんじゃないかと思って、ドアを開けてすぐに。

ー彼女を引き寄せた。

確かな感触。彼女の、香り…。


今、ここにいるのが信じられなくて、

「なんで来たんだよ…？」

なんて言葉が飛び出てしまった。

ひかりさんがこんなにも早くココに来たってことは…コトは？？

うまく頭が回らず、目の前にいる彼女をギュッと抱き締めた。

そして、彼女の綺麗な形をした口唇から出た言葉は、

有田さんとサヨナラしたっていう衝撃的なものと、

オレへの告白ともとれる、甘い言葉ばかり。




でも、待った。
このままじゃ、先に決定的なセリフを言われそうだ。

どうしても、オレから気持ちを先に伝えたくて、彼女の言葉をムリヤリ遮った。

ずっとオレの中で何かが邪魔して、言えなかった言葉。

「好きだ……。」

そうだ、オレはもうずっと、ひかりさんが好きで。

もう手に入らないとさえ思った彼女は今、オレの腕の中にいる。

好きだよ、と言ってくれた彼女がホントに愛しい。

今すぐ抱きたい衝動をグッと堪えて軽いキスを落とした。

でも、全然足らなくて。

ひかりさんの顔を見たら、濡れた瞳が熱っぽくオレを見上げていたもんだから、

オレはもう、止まらなくなった。


やっと手に入れた…。

ひかりさんと身体を重ねながら、じわじわとその嬉しさが込み上がってきたと同時にふと不安も過った。

これは現実なのかと。

彼女のカラダに溺れながら、思わず動きを止めて、ひかりさんを見つめた。