Bitter Sweet
ふぅ、と軽く息を吐いて、俺は続けて答えた。
「でも、俺も…そう簡単には譲れないって思ってる人がいるよ。」
譲るも何も、彼女は俺のものではないけど。
気持ちの上では、誰にも渡したくない、そう思っているから、ありのままをぶつけた。
「…そうですか。」
そう言って、少し挑戦的な瞳を向けながらも口角が上がるのを見逃さなかった。
それを見て、ふっと笑いが洩れる。
「楽しそうだな。余裕あるじゃん。」
「まさか。余裕なんて全くないですよ。ただ…少し嬉しかっただけで。」
「嬉しい?」
思わず首を傾げて訊き返す。
「有田さんの本音を見せてもらえたから。」
高梨はヘラッと笑いながら、また歩き始めた。
……。
面食らった俺は何も言えず、高梨の後を少し遅れて歩き出した。
そして。
ふいに後ろを振り返った高梨が言い放つ。
「オレ、足掻きますから。負けないように。」
誰のことかなんて、一言も口にしていないのに、
互いに解っていた。
「俺も負けないように頑張らせてもらうよ。」
高梨のストレートさに、苦笑いを浮かべながら答えた。
高梨は妙に満足気な顔をしていて、
俺もつられて、妙に晴れ晴れとした気分になった。
****
「でも、俺も…そう簡単には譲れないって思ってる人がいるよ。」
譲るも何も、彼女は俺のものではないけど。
気持ちの上では、誰にも渡したくない、そう思っているから、ありのままをぶつけた。
「…そうですか。」
そう言って、少し挑戦的な瞳を向けながらも口角が上がるのを見逃さなかった。
それを見て、ふっと笑いが洩れる。
「楽しそうだな。余裕あるじゃん。」
「まさか。余裕なんて全くないですよ。ただ…少し嬉しかっただけで。」
「嬉しい?」
思わず首を傾げて訊き返す。
「有田さんの本音を見せてもらえたから。」
高梨はヘラッと笑いながら、また歩き始めた。
……。
面食らった俺は何も言えず、高梨の後を少し遅れて歩き出した。
そして。
ふいに後ろを振り返った高梨が言い放つ。
「オレ、足掻きますから。負けないように。」
誰のことかなんて、一言も口にしていないのに、
互いに解っていた。
「俺も負けないように頑張らせてもらうよ。」
高梨のストレートさに、苦笑いを浮かべながら答えた。
高梨は妙に満足気な顔をしていて、
俺もつられて、妙に晴れ晴れとした気分になった。
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