Bitter Sweet
待ち合わせで落ち合うと、前から気になっていたスペイン料理系のお店に2人で入る。

「…で、どーしたの?なんかあった?」
菜央いわく、突然の飲みのお誘いは大抵、お互いに、何かあった時だもんね、という事で。


「あったも、あった!大アリだよ~!!」
聞いてよ~!と言わんばかりに、
昂くんと再会したことを話す。

聞いた途端、菜央は、ブッと飲んでたワインを吹き出しそうになって衝撃を受けていた。


「…な、何その展開…あり得ないんですけど!!しかも昂くんて確か…ひかりが1番大切にしてる想い出のヒトじゃないの!?」
「…覚えててくれてたんだ、菜央~。そうだよ、その人。会いたかったようで、会いたくなかったような…」

想い出は、キレイなままにしておきたい。
成長してから会ったって、見たくないもの見て幻滅したり、勝手にショック受けたり、プラスに働くことなんてあまりない。
そう思っていた。

「…で、ぶっちゃけどーだった?」
「何がよ。」
「会ってみて、よ。またときめいちゃったりした?オトコっぷり上がってた?それとも下がってた?」
楽しそうに質問を続けてくる菜央。

「……」
思わず黙り込む。

ときめく?

あの、頭ポン、は揺らいだ、かな。

オトコっぷりは…

思い浮かべる。
高校生の頃のただ細くて背の高い身体。
今日見た昂くんは、少し身体つきが逞しくなって、スーツが似合う大人の男性。
私の知らない、昂くんだった。

「オトコっぷりは…上がってたかも。少なくとも、ガッカリはしなかった。」
「ふ~ん?」
ちょっとニヤニヤしながら私を見る。
「…なーにーよ?」
「いや~、なん~か起こりそうだよね!ドキドキしちゃう!!」
恋愛ドラマでも見てるかのように興奮の色を浮かべて、浮き足立っている。

私も、これが他人事だったら。
菜央みたいに妙にはしゃいだに違いない。

「…なんかあっても困るよ…。」
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