Bitter Sweet
「…何笑ってんの。」
クスクスと笑いが漏れる私に不満顔。

「だーって。拗ねてんだもん。可愛いとこあるね?レ・ン・ちゃん?」
にこ~っと笑って思いっきりガキ扱いしてやった。
男がカワイイなんて言われたって嬉しくないの、百も承知。
でも、いつも生意気な高梨に口撃する数少ないチャンスは逃せない。

「…拗ねてねーよ!」
心なしか顔が赤い。自覚してなかったのかもしれない。
口を尖らせてツーン、とソッポを向かれてしまった。

言い過ぎたかな、とちょっぴり反省し、ご機嫌をとることにする。
…ご機嫌取らなきゃなんて、どこぞの王子様かっつーの。
と、すこーしだけ思いながら。

「ごめん、て。高梨。じゃあ、明日飲み行こ?土曜だからあんたがヒマなら、だけど。デートで忙しいなら来週仕事終わりにでもいーし。」
ポン、と背中を叩いて高梨の顔を後ろから覗き込む。
すると、ジーッと私を見下ろし、睨んでくる。

が、次の瞬間。

ニーッコリ笑みを浮かべて、のたまった。

「今日!歓迎会の後!!」

「えぇ~!!きょ、今日!?
歓迎会何時に終わるかわかんないのに??」
さすがにゲンナリオーラを全開にしたら、高梨はまた睨んできた。

「何か文句でも?レンちゃん呼ばわりしたひかりチャン。」

…はっ。根に持ってらっしゃる?

「ナイです…。すみません、ちゃん付けは…カンベンして下さい。」
おずおずとお願いする。年下にちゃん付けされるって何だかくすぐったすぎる。
「よろしい。ちゃん付け、いーじゃん。カワイイのに。オレはやめてね?ちゃん付け。どうせ呼ばれるなら、蓮、でいい。色っぽいっしょ?」
ニヤッとしながら肩をポンポン、と叩いてくる。

…何がよ!

と言いたくなったけど、もうやめとこう。キリがなくなりそうだ。


そんなやり取りをしながらお店に着いたので、軽い段取りの確認だけして、みんなが来るのを待つことにした。




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