Bitter Sweet
高梨が隣の部屋へ移動したのを確認すると、私は辺りを見回した。

ベッド脇に、昨日私が着てた洋服が散乱してる。

…何してんのかな、私。


記憶をどうにか遡ってみる。

…多分私が酔いつぶれたんだ。
家が近いとはいえ、場所までは分からないから、きっと自分の部屋に連れてこざるを得なかったんだろうな。


二日酔いの頭を抱えながら、のろのろと着替え始める。

でも、服を脱いでる意味がわからない。


何があったか、聞くの、怖いなぁ。

はぁ~、とため息を吐きながら、
身仕度をして、
隣の部屋をノックする。

「着替えたから、そっち行っていい?洗面所とトイレ貸して。」

「どーぞ。」

戸を開けると、味噌汁のいい香り。

「…美味しそう。」

二日酔いの私には魅力的だった。
お味噌汁が飲みたい気分だったから。

「インスタントだけど。ひかりさんのもあるよ。」

「…ありがと。」

高梨はいつもと変わらない態度だ。
緊張感をほぐされる。



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