Bitter Sweet
携帯用のメイク落としで昨日のメイクを落とし、顔を洗って、薄く化粧をしてから高梨のいるソファへ戻る。

テーブルには私の分のお味噌汁が置かれていた。

「…いただきます。」
「ハイ。」
にっこり微笑んで、読んでた新聞に視線を落とす高梨。

ズズッとお汁をすすりながら、
この状況をどう説明してもらおう、と思案していると。

「…ひかりさん、昨夜さ。」
おもむろに高梨が口を開く。
「帰る時に眠りこけちゃって。参ったよ~。住所もわかんないし。置いてくわけにもいかないし。」

あぁ、やっぱり。

「…ゴメンナサイ。」

平謝り。

「うちまで運んで、ベッドに寝かせたら、人のこと布団に連れ込むし。」

「えぇ!?」

「なんか勝手に服も、暑いとか言って脱ぎ出してさぁ。オレも何でか脱がされて。」

き、キャーーッ!!

全身から冷や汗がぶわっと吹き出る。

あ、ありえない!
脱がされたんじゃなくて、自ら!?
しかも高梨まで!?
襲ってるの、私ですか!?

「う、うそでしょ….?」

開いた口がふさがりません。


「ほーんと。襲われるかと思った。オレ、これでも襲う方が好きなのに。」
そんなこと言ってる場合か?
と、心の中で突っ込んでみたものの、申し訳なさでいっぱいになってくる。

「重ね重ね、ごめん…。迷惑かけたね…。」

自己嫌悪。

穴があったら入りたい。

ドーン、と落ち込んでると、

高梨は軽口をたたいてくる。

「昨日、ひかりさんおかしかったからね。オレとしてはせっかくのチャンスだから、そのまま誘われちゃおっかなーと思ったけど」

ニヤニヤしながら、ふとマジメな顔をして話を続ける。

「…やめといた。泥酔してるヒトに手ェ出すの、趣味じゃないし。」

あ…。

じゃあ、ホントに、何もなかったんだ…。

ホーッと安堵の息が漏れる。

「安心した?」
意地悪そうに顔を覗き込んでくる。

「…した。けど、ホントに色々、ごめん。」





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