Bitter Sweet
高梨は、道分かる?、と結局マンションまで送ってくれた。

近所なのは知ってたけどこんなに?
全然歩けるし。
15分で着いちゃったよ。

意識さえあれば、絶対帰る距離じゃないか。


「色々、ご迷惑をおかけしました。…じゃあ、夕方?
ウチでいいの?どっかおいしいお店で奢ってもいーよ?」

高梨を部屋にあげていいものか、図り兼ねていたから、外食という選択肢を与えてみた。

あんなことあった後じゃ、男として認識しないではいられない。

だけど、そんな警戒中の私にはお構いなく、それは却下された。

「ダメ。ひかりさんの誠意が見たいから。」

「…ですよね。では後ほど。」

がっくりしながら、高梨に向かって手をひらひら振り、じゃあね、とマンションのエントランスへ入っていく。


エレベーターに乗って、3階のボタンを押す。
扉が閉まると、
壁に背中を預け、脱力してしゃがみこんだ。



昨日の出来事を振り返る。

…ダメ。

なんか、キャパオーバーかも。

気持ちが、グルグルグルグル、ごちゃ混ぜになって、何を考えたらいいのかもわからない。

参ったなー…。



へたり込んでいると、扉が開いた。3階だ。

足取り重く、自分の部屋へ帰った。



< 45 / 263 >

この作品をシェア

pagetop