Bitter Sweet
後ろから抱き締められたまま、クイッと顔だけ高梨の方を向かされる。

その勢いのまま、唇を塞がれた。

驚いて、思わず目を見開く。

「っ、…!」

一瞬唇が離れた隙に、抵抗を試みる。

でも、がっちり腕の中に閉じ込められていて動けない。

「…忘れなよ。オレが、忘れさせてみせるから。」

至近距離にいる高梨の熱っぽい瞳から眼をそらせない。

何言って…、と口を開きかけた時。


再び高梨の柔らかい唇によって、私の言葉は遮られた。

「…言わせない。」

そのまま、高梨に抱きすくめられて、フワッと身体が持ち上げられる。

急に床から身体が離れたことにビックリして思わず高梨の首にしがみついてしまった。

「ちょっ…、何よ、降ろしてよ!」
突然のお姫様抱っこに、
高梨の行動に、
慌てて抗議する。


そして、ボスン、と降ろされたのは。

ベッドの上。

私が逃げられないように、すぐに体重を乗せてくる。
両手首を掴まれて、身動きを封じ込められた。


…本気、なの!?

冗談かもしれない、という願いは、高梨の表情を見たら。
打ち消されてしまった。





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