Bitter Sweet
「高梨、優しすぎるよ…。」

こんな風に扱われるのは慣れてない。
ただ、慈しまれてるような。


「知らなかった?」
ニンマリして言うこの男。

あぁ、そうか。

見てくれだけじゃなくて、
こーいう優しさに女の子はオチるんだ。

私は、男としての高梨を知ろうとはしてなかったから。

「…知らないままで良かったのにな。」

そう呟くと、高梨はフン、と鼻で笑って、私に口づけてきた。


高梨の甘さが、私には毒にもなる。
そんな気がした。


好きには、ならない。
なっちゃいけない。
私は、こいつを利用しちゃったんだから。




高梨の腕に包まれながら、思った。









< 53 / 263 >

この作品をシェア

pagetop