Bitter Sweet
「峰さんに聞いたけど、お前彼氏いないんだって?」

…余計な情報を。峰さんめ。
寝ている彼をつい睨む。

「うん…なんかね。いない。」
隠してもしょうがないので正直にいう。

でも、聞かれるなら、私も聞いてしまおう。
気になってたこと。

例え、胸が痛くなっても。
この地に全部、置いてけばいいや。

覚悟を決めた。


「昂くんは、今の彼女とは長いの?」

聞きながら、すごいドキドキしている。

「…あぁ、どうかな。二年位だけど。」
世間一般的に、長いってどれ位の期間を言うのか。
昂くんはそれで、どうかな、って言ったのが分かる。


「前の会社の人?」

「まぁ。それ関係だな。」

…なんか、歯切れ、悪くない?

じーっと昂くんの顔を見る。

「何?」

私の視線に耐えかねたらしい。

「…話したく、ない?」

元彼女に今の彼女の話はしづらいか。

でも、そーゆう話題を振ってきたのは彼の方だ。

「話したくないっていうか。…いや、やっぱそうかも。悪い。」
自分から振った話なのにな、
そう言って苦笑いを浮かべる。

「ううん、こっちこそ、なんかゴメン。」

何なんだろう。気まずい。

長い沈黙の後。

「…10年前、さ。」

重たそうに話し始める。

「すれ違って、どうしようもなくて、別れただろ?俺たち。」

ピタッと料理を挟んでいた箸を止めて耳を傾けた。

「…そうだね。」

進路が別れれば、別れるカップルなんていっぱいいるだろう。
私達に限った話じゃない。

お互い、別の人生を歩んでいくわけで、仕方のない選択なように思う。
10代の恋愛は、大抵はそんなものだ。





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